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8年前のPerfume [音楽]

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この前、《関ジャム》でPerfumeを観てしまったので、衝動的に最近のアルバムを聴いてみた。最近といっても1年前の発売なのであるが、《Cosmic Explorer》である。去年の『装苑』にこの衣裳の表紙があったことを憶えていたこともある。ホントは映像のほうが良いのだろうけれど、とりあえず音だけでも、と思って。

というのはPerfumeは初期の頃に聴いていたのだけれど、あっという間にものすごい人気になってしまったので、まぁいいか、と思ってしばらく遠ざかっていたのである。

Perfumeの音はあい変わらずといえばあい変わらず。でも音のクォリティがさらに上がっているような気がする。ただ逆にいえば、あぁこういう音ね、という既視感ならぬ既聴感的な音もあって、人間ってすぐに慣れてしまうものなんだとも思う。
今、やっとのことで立花隆の武満徹本を読み出したところなのだが、当時、ミュージック・コンクレートという手法があって、まだテープレコーダーっきり無い頃だから、創った音、採集した音をひとつひとつ磁気テープに録音して、それらをつなぎ合わせて曲を作っていたのだそうである。音の断片の入ったそういうテープを壁に貼り付けて、そういうひらひらした吹き流しのようなテープがおそらく何百本とあって (いや、もっとかも)、それらの中から使いたい音を取捨選択するという気の遠くなるような作業をしていたのだ。もちろんサンプリング機器などまだ無いし、そもそもマルチトラック・レコーダーさえ存在しない頃である。
デジタル音の最先端である中田ヤスタカのサウンドを聴きながら考えていたのはそんなことだった。

Perfumeは最初にベスト盤を聴いて、それから《トライアングル》が出た頃で、見事にハマッてしまった。でもそれはもうすでに8年も前のことなのだ。
中田ヤスタカは基本的にヴォーカルも楽器のひとつとして捉えている。だから変調させても良いし、クチパクでも構わないのだ。そのいさぎよさがスゴい。

8年前にPerfumeについて書いていたことがあったのを思い出して、ひっぱり出してみた。
自分の過去の文章をあらためて読んでみると、今の私とちょっと感覚の違う部分があるかもしれなくて、あえて再録してみる。

たとえばライヴでもクチパクがあることについて、8年前の私はこう書いている。
「ジャック・ドゥミのシェルブールの雨傘は全編が歌詞になっているミュージカル映画だが、歌っているのはカトリーヌ・ドヌーヴでなく、ダニエル・リカーリという人だ。北京オリンピックの開会式で、パフォーマーと歌手が違うことが問題になったけど、そのうちパフォーマーと歌手が異なってもいいときが来るかもしれない。Perfumeのライヴを見ていて、そう考えた」
北京オリンピックという言葉が時代を感じさせるが、そしてまだオモテだってそういうことは起きていないが、でもそうなってもおかしくない。むしろCGとか、アニメ/声優という関係性のなかで職能の分離がもっと発展していく可能性もある。

〈edge〉についてはこんなふうだ。
「《トライアングル》付属のDVDでもっとも刺激的なダンスは〈edge〉である。このフリはつまりあえて英語で書いてしまうと、deaf & blindなのだと思う。マルソーの壁があるのはシャレだろうけれど」

〈edge〉の歌詞は当時、話題になった。

 誰だっていつかは死んでしまうでしょ
 だったらその前にわたしの
 一番硬くてとがった部分を
 ぶつけて see new world
 say yeh!

「see new world」 が 「死・ぬ・わ」 の語呂合わせというのがそれだが、今、読むと 「わたしの一番硬くてとがった部分をぶつけて」 という個所が鋭くささる。それに 「いつか死ぬ前に自分で死ぬ」 のだ。でも、そんなに深い意味はない。なぜなら音はサウンドでしかないからだ。母音 「い」 「う」 「あ」 の連鎖でしかない。

ただ、このアルバムとDVDの中心となっている曲は、Perfumeなのにあえて踊らないという〈I still love U〉である。これは今聴いても色褪せていない。

「DVDのトップにも入っていますが、このアルバムのメイン曲は I still love U です。youじゃなくUっていうのがプリンスっぽい。

 キミをどんなに想い続けても
 あたしにできることなんかなくて
 夕焼けみたいに沈む気持ちを
 胸にしまいこむ

「夕焼けみたいに沈む気持ち」 っていうのが妙に和風で、森高のディスカバー・ジャパン的な味があります。でもDVDの画像を見ると、これってマニエリスムですね。ズバリ言っちゃえば、キモチワルイかどうかのギリギリのところでやってる。

キモチ悪さは、サビの 「I still love U 抜け出せない」 のところにもあって、つまり4小節目と12小節目の最後が、短調にもかかわらずトニックマイナーじゃなくトニックで終止。これがキモチ悪くてキモチイイ!んです。繰り返し聴きのリピートに耐えます。

 震えた気がして電話を見て
 気のせいだとがっかりしたりもして
 次はいつになるとあえるかな
 思い続ける

「がっかりしたりして」 じゃなく 「がっかりしたりもして」、「あえるかなと思い続ける」 じゃなく 「あえるかな/思い続ける」、この違いが胸に痛いです」

と8年前の私は書く。
歌詞を聴かないはずの私が、細かいことに気がついているのはそれだけ聴き返していたのに違いない。
EQで音を補正するのは過去のことで、音をいじることは常に音を劣化させる方向へとシフトしている。むかしのAMラジオの同調がズレていくように、汚していくことが終着点で、フェイズもノイズも、すべてはダメージデニムと同じだ。

その他の曲については、
「〈NIGHT FLIGHT〉ってタイトルはサン=テグジュペリからのパクリです。そしてこのリズム・パターン、っていうかシークェンス・パターンはYMOの〈テクノポリス〉です。インダストリアル・ミュージック的な音が笑わせる (ホメ言葉です)。
あと最後の曲〈願い〉の出だしのメロディー部分は、鈴木あみの〈OUR DAYS〉ですね。これらのことってパクリっていえばそうなんだけど、たぶんワザとやってますよね~」

ああ、確かに。鈴木あみの後期はクォリティが低下していて音痴だったりするのにもかかわらず、そのレイドバックしたルーズさがなぜか心地よい。それはあまりにひねくれた見方かもしれないのだが。
でも最後のシメの言葉がもっと笑わせる。
「最後に、このPerfumeの3人のキャラ分担とノリって私はマジックナイト・レイアースだと思うんだけど」

その頃、CLAMPを読んでいたということもあるけれど、3人という単位はどうしてもそういうパターンになってしまうというのが、無難な解釈なんだろうと思う。でもレイアース、いいなぁ。そういうこと、最近の私は全然考えなくなってしまったし。

8年前のPerfume、あと2年経つと10年目の毬絵。あ、なんでもないです。
ところで《Cosmic Explorer》というのは……以下次号。


Perfume/TOKYO GIRL (Universal Music)
TOKYO GIRL(初回限定盤)(DVD付)




Perfume/COSMIC EXPLORER (Universal Music)
COSMIC EXPLORER(初回限定盤A)(2CD+Blu-ray)




Perfume/TOKYO GIRL
https://www.youtube.com/watch?v=vxl4gsvgEQY

Perfume/I Still Love U
https://www.youtube.com/watch?v=CZa4fyhQXBc

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