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十二夜、14番目の月、十六夜日記 —《LOVE LOVE あいしてる》 [雑記]

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21日の金曜日、帰ったらちょうどTVで《LOVE LOVE あいしてる》をやっていたので観てしまった。16年ぶりの復活SPとのことである。うわ~、なつかしい! と思ってしまったのだけれど、出演者の誰もがそんなに変わっていない。
ゲストの菅田将暉はお父さんが吉田拓郎の大ファンで、影響されて知っているとのことだったが、そして吉田拓郎、KinKi Kidsとともに歌うシーンまであって、しっかり客席に来ていたお父さんの気持ちはどんなだったんだろうか。

でもそんなことはいいとして (いいのかよ?)、最近はオトナになってしまった篠原ともえが昔通りの篠原だったのが私の懐かしさの根源である。当時と同様のキャンディショップのようなポップカラーの氾濫する過剰な色の取り合わせは、メチャクチャのようで、でもメチャクチャではない。
そうした色彩の使いかたは、渡辺直美主演で始まったTBSのドラマ《カンナさーん!》にもあって、第1回冒頭のめまぐるしいようなたたみかけかたは最近のアメリカ映画っぽいカメラワークで、ちょっとウザかったがすぐにそれも終わり、観やすいドラマだけれどそんなに深みはないかもしれない。
でも、カッコよくスマしているより、篠原や渡辺直美のように元気なほうが良いのだ。

TVドラマではそのファッションの使いかたが話題になりがちだけれど、渡辺直美だと、とりあえず着ている服そのままでは、たぶん参考にならない人がほとんどだと思う。でも、そのポップなアイテムとカラーは彼女の、嫌味にならない魅力をうまく引き出している。

カンナ (渡辺直美) とつり合っていないイケメンダンナの礼 (要潤) は、早速、空間デザイナーだというシシド・カフカと不倫話を勃発させてしまうが、シシドはすらりとした長身、アンニュイ風でステキなお仕事、とすべてカンナとは対照的で、着るものにもほとんど色彩が感じられない。
おぉ、また《あなそれ》に続いてゲス男出現なのか、と思うのだが、シシド・カフカはゲスト出演とのことだから (1~2回のみ)、これは長く続かないエピソードらしいのだ。
シシド・カフカはドラムを叩くミュージシャンでもあるのだが、カフカというエキセントリックな名前はもちろんフランツ・カフカを連想させるのだけれど、日本語にすると 「可・不可」 だからつまり Yes or No でもあって、これは私が勝手に思いついたことなのだが、そのあまりにステロタイプな不倫相手としての設定はやっぱり陳腐で定まらない浮気を象徴しているんだろうな、と納得してしまう。

とりあえず、不穏な前回ドラマ (の魑魅魍魎さ加減は、たぶんドラマ全体がギャグだったんだと思うけど) の後に登場してきた渡辺直美、失地回復にがんばってほしいです。

というところで唐突だが、森茉莉は父親の小説と翻訳小説について次のように書いている。

 そのようにして、口のきけない頃から膝に抱かれて父の雰囲気のすべて
 を感じていた私は、女学校に通うようになってから、初めて父の翻訳も
 のを読むようになった。父の小説は全部理屈でできている文章で、少し
 もよくないように私には思えた。父も自分自身でそれがいやだったから、
 翻訳はみな情緒溢れるものを選んでやっていたのである。それらのもの
 を読み出して、私は “空想する” ということを身につけたのである。だ
 から私は “退屈” というものが、まったくわからない。ごろんとベッド
 に寝転がれば、すぐに空想の世界に入ってしまう。
             (『幸福はただ私の部屋の中だけに』p.83)

どこで読んだのか、誰が書いていたのかも忘れてしまったが、森茉莉のアパルトマンの部屋の放埒に積み重なった本や雑誌やその他の幾多のもののなかで、鷗外全集が、ずずずと崩れた雑誌の堆積のようになっていたという描写があって、つまり森茉莉は父親の思い出は大切にしていたが、その作品は大切に思っていなかったのであることがわかる。
そして空想するという行為は、アン・シャーリーやジェルーシャ・アボットの例をあげるまでもなく、少女としての特権であり、そしてそれは決して少女だけに限定されたものでもない。世間における地位や権威というようなステータスを獲得さえしなければ。

立花隆の武満徹論について、続きがあるように書いておきながら私はその続きを考えあぐねていた。立花が繰り返し取材している途中で武満が亡くなってしまったこと、そのため本の後半はそれまでの取材原稿の焼き直しや拾遺であったりすることなど、やや生彩を欠く部分があることも確かだが、何より感じるのは、武満が《ノヴェンバー・ステップス》の成功によって獲得したのは音楽界の権威としての立場であり、そのときからアヴァンギャルドな精神性は後退していったのではないか、という仮説である。
というのはその後、もはや巨匠となってからの作品《カトレーン》(1975) を聴いたとき抱いた漠然とした印象、それはとても緻密に書かれているけれど、その語法は伝統の踏襲、伝統への回帰であってアヴァンギャルドではないのが如実であることがそのきっかけだったからだ。それに立花は武満徹大好きなファンであり信奉者であって、少し突き放した距離から見る目がない、というのも後半の記述をやや散漫なものにしているように思えた。

芸術はアヴァンギャルドだから良いというわけなのではない。ただ私はアヴァンギャルドだった人がアヴァンギャルドでなくなると興味を失うのである。
保坂和志が『魚は海の中で眠れるが鳥は空の中では眠れない』の中で、オーネット・コールマンについて書いている部分があって、すごくかいつまんで私の感じた言葉で書いてしまうと、オーネットはコルトレーンのように決して求道的だったり禁欲的だったりはしないが、そのたらーんとしたハーモロディックなどというトンデモ理論みたいなので終生突き詰めて、いや突き詰めないんだけれどそれで押し通したというのが実はすごくアヴァンギャルドではないかというようなことなのである。
だから保坂は《タウンホール1962》の、冗長ともいえる〈The Ark〉を絶賛するのだ。

実はこの文章はオリヴァー・ネルソンのことを書こうとして書き始められたのだが、どんどん話が外れていってしまい元に戻りそうもないのでこのままにしておく。どんどん話が逸れていくのが森茉莉みたいでカッコイイ、と自画自賛。

15をその頂点として月は満ちかけするが、これから上り坂になっていくときが美しいのか、それとも次第に欠けていくときこそ退廃の美学があるのか、そもそもそれは退廃なのか、などといろいろな見方がある。それに月は欠けていってもまた復活するが、朽ちていくものに再生はない。


吉田拓郎/元気です。(ソニー・ミュージックダイレクト)
元気です。




シシド・カフカ/トリドリ (avex trax)
トリドリ(CD+Blu-ray)




保坂和志/魚は海の中で眠れるが鳥は空の中では眠れない (筑摩書房)
魚は海の中で眠れるが鳥は空の中では眠れない




Ornette Coleman/Town Hall 1962 (Esp Disk Ltd.)
Town Hall 1962 (Dig)




LOVE LOVE あいしてる 16年ぶりの復活SP
http://www.dailymotion.com/video/x5udrxt
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コメント 10

えーちゃん

ぁっ、LOVE LOVE あいしてる私もチョッとだけ見ました。
ホント懐かしい~

by えーちゃん (2017-07-23 14:02) 

末尾ルコ(アルベール)

菅田将暉は現在最も優れた若手俳優の一人ですね。もちろんすべての作品が、というわけにはいきませんが、菅田将暉が出るだけで楽しんで観ていられることが多いです。
ドラマの方は観たことないですが、渡辺直美のような笑いは割と好きです。あと、全く違うけれど、山田花子も好きなんです。
森茉莉の「私は “退屈” というものが、まったくわからない。」という感覚、とても共感できます。わたしも一人で過ごす時間で、「退屈」だと感じたことは一度もありません。どちらかと言えば、中途半端に人と過ごす時間の方がずっと退屈ですし、今もそれは変わってません。「暇だ~、暇だ~」といつも言ってる人たちと共有するものはほとんどないですね。「空想の世界」は、特に中学時代には悦楽的な時間でした。今はさすがにそれほど没有はしませんが(笑)。

>私はアヴァンギャルドだった人がアヴァンギャルドでなくなると興味を失うのである。

う~ん、なるほどです。何か中途半端感が出てしまうことが多いですよね。

>どんどん話が逸れていくのが森茉莉みたいでカッコイイ、と自画自賛。

僭越ながら、わたしからも絶賛の嵐を(笑)!でも話が逸れていくことはよくありますよね。あるテーマを800字くらいで書こうとしたら、まるで違う話で1200字くらいになっていたとか。

前回の話題で恐縮ですが、

>ロシアの音楽とソヴィエト連邦の音楽は違うと

というお言葉、(なるほど!)と思いました。確かにショスタコーヴィチ・・・。とても分かる気がします。

>デジタル信奉者には 「長いものには巻かれろ」 的な共通点

ほんとにこの風潮、嫌ですね。NHKでもしょっちゅうAIのネタを取り上げているし。 RUKO

by 末尾ルコ(アルベール) (2017-07-24 01:40) 

lequiche

>> えーちゃん様

たぶん単発で終わってしまうのでしょうが、
今やっている番組より楽しかったですね。(^^)
by lequiche (2017-07-24 07:06) 

lequiche

>> 末尾ルコ(アルベール)様

そうなんですか。
今、名前がすごく出てくる人ですね。
私はよく知らないので新鮮でした。
たぶん知らないうちに観ていた出演作があるかもしれません。

渡辺直美も、最近はCMまで含めてよく目にしますが、
今回のドラマの出来は彼女の今後にとって
結構重要な気がします。
対して山田花子はやはり伝統芸の味がありますね。

「中途半端に人と過ごす時間の方がずっと退屈」 というの
大変よくわかります。
会話をしていてもそこに内容と密度がないと
とてもつらいというか、そうした人たちに加わって
時間がルーズに過ぎていくのが耐えられないような気がします。
時間がルーズに過ぎる会話が必ずしもダメなのではなくて、
たぶんその時間の質によるのだと思います。

立花隆の武満論には、あれだけの長大な文章量でありながら
巧妙に避けて通っている部分があって、
それは意図的なものなのかそれとも無意識なのか、
そこがよくわかりません。
私の思考は演繹的で、まず直感の結論があるのですが、
そこに至るまでのピースがまだ見つかっていません。
アヴァンギャルドな指向のほとんどは有名になるための手段で、
それは方法論的なアヴァンギャルドでしかありません。

森茉莉は親の仕事を継いだほうがツブシが効いてラク、
みたいな昨今の 「二世」 的なデビューのしかたではないんです。
むしろ父親へのアンチテーゼとしての視点であって、
そういうほうがむしろアヴァンギャルドなのだと私は思います。

ロシアは、ソヴィエトという無機質な外皮が無くなってしまい
ロシアに戻ってしまったのでわかりにくいですが、
根底に流れる民族的なロシアとソヴィエト的な政治性は
異なるものだと思うのです。
昔から日本人はロシアは好きだけれどソヴィエトは嫌いです。
ソヴィエト的なものはプーチンに代表されるように人工的であり、
それがむしろ毒素のように作用してロシアの芸術を
活性化させているのかもしれません。これは逆説的ですが。

私は 「意識を共有する」 という言い回しとか
クラウドとかアーカイヴが嫌いです。
それらは一見便利で原始共産主義のようにみえますが、
大衆を統率して愚弄し痴呆化させるための方便に過ぎません。
AIは昔からのSF小説のディストピアの具現化であって、
それが冗談でないところに現代の邪悪な真相があらわれています。
これからどんどん 「すばらしい新世界」 化が進んでいくんだ、
と思います。
by lequiche (2017-07-24 07:07) 

hatumi30331

勿論観たよ!!
管田くん大好き!^^
ドラマ映画・・・・色んな役をやるよね〜
若手の中では、かなりイケテルと思う!^^

カンナさ〜ん!見たよ。
元気が出るドラマかな?
居眠りする時間なので・・・・続けて見られるか?
私の問題です。へへ:

祭りの季節ですよ〜〜〜
夏祭りが終わったので
次は花火!
岸和田祭り 秋祭り よさこい祭りと・・・・・
続きますよ〜 自分が元気じゃなくちゃね。^^

by hatumi30331 (2017-07-24 23:41) 

lequiche

>> hatumi30331 様

菅田将暉、評価が高いですね。
どんどん若い世代が出てくるのは良いことだと思います。

《カンナさーん!》はテンポが第一、みたいな
作り方をしているように思います。
TBSは、見損なったら次の回まではオンデマンドフリーで
無料で観られますので、私もよく使ってます。
http://www.tbs.co.jp/muryou-douga/top.html

これからお祭りの季節ですね。
暑いですから熱中症にお気を付けて、
レポートお待ちしております。(^^)
by lequiche (2017-07-25 02:25) 

caveruna

LOVE LOVEあいしてる、録画しました!
まだ見てないけど、とっても楽しみ♪
吉田健さん出てたかな?
昔働いてた会社の同僚のお父さんです(笑)
by caveruna (2017-07-25 17:28) 

lequiche

>> caveruna 様

あ、そうなんですか。
ベーシストは吉田健さんではなく松原秀樹さんでした。
でも、以前と変わらない楽しい番組でしたので、
是非ゆっくりとご覧ください。(^^)
by lequiche (2017-07-25 17:52) 

うっかりくま

また本題からズレてますが、注目していた
シシドカフカに反応してしまいました。
黒い服ばかり着てカラスみたいだったから
カフカ(カラスの一種)と名付けられたって
言ってましたね。NHK朝ドラで演じている
岩手出身のスパイスの効いた役もカッコイイ!
渡辺直美の身体を張った笑いや攻めてるファッション
が海外でも人気というのは何だか嬉しい現象です。
篠原ともえは、洋裁の技術とセンスが素晴らしくて
以前作品が芸能人ナンバー1になってプロに絶賛され
ていましたね。

by うっかりくま (2017-07-25 21:49) 

lequiche

>> うっかりくま様

TBSの番組サイトのキャスト欄では、
シシド・カフカの出演は1〜2話となっているんですが、
第3話にも出演するみたいです。(ドウナッテルノ?→TBS ^^;)
役名・草壁真理の苗字は草壁皇子を連想させます。
私は朝ドラは観ていないのですけれど、
そういう役なんですね。

シシドはアストル・ピアソラの孫、
ダニエル・ピピ・ピアソラからドラムを習ったのだそうで、
その経歴に目を引かれます。
ボラン・フリークであるマルコシアス・ヴァンプの
秋間経夫が'主導しているボランのトリビュートアルバムにも
参加しているようです。

篠原ともえは、今回の放送を観ていてもわかりましたが、
小道具をどうやって壊すのかも最初から計算しているようで、
ヤッパスゴイゎ、と思いました。

ユーミンのツアー衣裳を担当したことがありますが、
篠原のデザインは屈折していないんですよね〜。
それが彼女の特質ですし、そして色彩感覚がクリアです。
https://lineblog.me/shinoharatomoe/archives/20303658.html

それでこの記事タイトルに 「14番目の月」 があるんですが、
数字の12、14,16という連なりを思いついたのが動機で、
「十二夜」 はシェークスピアでなく森川久美です。
なぜなら森川の前ペンネームが山田茉莉だからです。
森茉莉は山田珠樹と結婚していた時期は山田茉莉ですから。
by lequiche (2017-07-26 01:05) 

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