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《奇想天外》を読む [本]

Queen1973_170611.jpg
Queen (pastdaily.comより)

古書店が何店舗か集まって出展している古書フェアみたいなところで、『奇想天外』という雑誌を見つけた。『奇想天外』は出版社を変えて3種類あり、第2期目の奇想天外社から発行されていた頃が発行期間も最も長くて有名であるが、今回見つけたのは最初の盛光社から出された雑誌である。1974年1月が創刊号で、月刊で10号出したところで休刊、つまり10カ月しかもたなかった。

私は初めて実物を見たので、それに安かったので思わず数冊買ってしまったが、後で調べたら比較的手に入りやすい古書らしい。『SFマガジン』などに較べるとあまり人気が無いのかもしれない。表紙、背文字にSF・MYSTERYとジャンルが示されているが、後になるとNONFICTIONという言葉が加わっている。『SFマガジン』などより、ややジャンルが広い感じがする。というより、その頃はSFだけで記事を満たすのは、競合誌としての『SFマガジン』も存在するし無理だったのだろう。

外見はかなり痛んでいて周囲が焼けているが、中身を読むのには支障はない。1974年という年がどういう年だったのだろうか、と思いながら雑誌を開く。
創刊号のトップはカート・ヴォネガット・ジュニアの短編。この頃は名前の最後にジュニアが付いていたのだということがわかる。雑誌の中の広告に映画《日本沈没》の小さな広告があり、’74年正月東宝系公開、とある。
第2号 (2月号) には読者投稿欄というのがあって、前号の感想などが書いてあるのだが、投稿者の名前だけでなく住所まで掲載されている。今のプライバシー重視の時代とくらべるとまさに隔世の感である。この雑誌ではないけれど、その頃の他の雑誌か書籍で見た記憶があるのだが、巻末に作家の住所までしっかり掲載されていたりするのが普通にあったのだからすごい。それを見て、作家の家まで押しかける人だっていたのだろう。

4月号には小野耕世のコラムがあって、ブルース・リーの映画のこととか、山本寛斎のスタジオのことなどが書いてあるが、それに続いてキャロルというグループの記述がある。カッコのなかにキャロルの説明があるのだが、

 〈キャロル〉というのは、いうまでもなく、ロックンロールのグループ
 のことである。

そして、そのリーダーは 「エーちゃん」 と書いてある。写真のキャプションも 「エーちゃん」 である。キャロルは74年に山本寛斎のパリでのショーに出演しているのでそれに関連させた記事になっているのだと思われる。

 彼のギンギラギンのけばけばしさは、ものすごく迫力があり、セクシー
 だ。この男は、なにを着ても下品になって、それがすごくいい。

と小野は書く。そして、「寛斎のショーにキャロルを連れて行く提案をしているT」 という部分があるが、このTというのは龍村仁のことと思われる。wikipediaなどを見るとNHKキャロル事件という項目があって、そこに詳しい経緯が書いてあるが、この雑誌の記事はその事件に至る前夜の話なのだ。
40年以上も前のことなので、ああそうなのか、というようなぼんやりとした感想しか湧かないのだが、以前のブログに書いたザップルの顛末と同様に、この時代の表情が垣間見える。その頃のNHKではキャロルなんてとんでもないと大顰蹙だったのだろう。

4月号には岡田英明 (鏡明) のコラムもあって 「フェアポートコンベンションのコンサート良かったよ。サンディ・デニーが出たんだ!」 なんて書いてある。
アメリカのコミックブックについては、多いのは百万部以上出ているし種類がやたら多いからすごい。ポスト・パルプマガジンで、ひとつのサブ・カルチャーを結成しているとも。そして、スパイダーマンのレコードを買ったと自慢しているが、その当時、国内盤でスパイダーマンを出す (しかもレコード) っていうのは相当にマニアックなはずだ。

その記事の最後にクイーンというバンドのことが書いてある。

 それよりもクイーンで*バンドを聴いてやってよ。やたらドライブがかか
 ってて凄いの。リードのブライアン・メイの全部自作のマホガニー製ギ
 ターがファンタスティックな音で迫るし、ボーカルはいい声してるし、
 ドラムスはまるで女の子みたいに可愛い顔してるし、見かけたら絶対買
 い。(* ママ)

1stアルバムの国内盤は74年3月に発売とあるから、岡田が原稿を書いていた時点ではまだ出ていなかったのだ。「日本じゃ出ないかもしれない。無名だもんね」 とも書いてあって、とってもタイムトリップした気にさせてくれる。

kisoutengai_jan1974_170611.jpg
奇想天外 1974年1月号 (創刊号)

Past Daily
Queen live at Golders Green 1973.10.20.
http://pastdaily.com/2016/06/11/queen-live-1973-backstage-weekend/

Queen live in London 1973
https://www.youtube.com/watch?v=RrynLWrYFJ8

キャロル/ファンキーモンキーベイビー live 1973.09.02.
https://www.youtube.com/watch?v=rV4fhbn-Bgg

キャロル/ファンキーモンキーベイビー PV
https://www.youtube.com/watch?v=0PBNQIJP0D0
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Speakeasy

クイーンの件、面白く読みました。
彼らはイギリス本国よりも日本での人気の方が先行する形でファンを増やして行きましたが、この記事はまさにそれ以前のお話なのですね。
ちょっと感慨深いですね~♪

by Speakeasy (2017-06-11 18:58) 

lequiche

>> Speakeasy 様

ありがとうございます。
おぉ、クイーンもまず日本で人気が出たんですか!
だとするとチープ・トリックとかジャパンと同じですね。

1974年初頭、クイーンなんてまだほとんど
誰にも知られてない頃だと思われます。
サンディ・デニーもこの4年後には亡くなっていますし、
鏡さん、さすがだなぁと思いました。
by lequiche (2017-06-11 19:26) 

末尾ルコ(アルベール)

70年代は世界的にも過剰なことが多くあって、今から考えてもおもしろい時代だった感が強いです。『奇想天外』・・・見かけたような見かけないような(笑)、しかし本屋さんも今よりおもしろかったですよね。「癒し系」の本とか置いてなかったし。もちろんわたしはノスタルジーに浸るのは趣味ではないので、何でも「昔がよかった~」とかいうつもりは全くありませんが、客観的に、そして現在の目で見ても、おもしろいものが多かった感じ。実はクイーンが、わたしが「初めてファンになったロック・バンド」です。海外バンドの映像なんか普通は見られない時代だったから、高知のレコード店の小さなホールでやったクイーンの「フィルムコンサート」なるものにも行ったりしましたが、けっこう満員だったりしました。ロジャー・テイラーが日本の女性ファンに大人気だったんですよね~。『ミュージック・ライフ』とか『音楽専科』とか、割とミーハー向けのロック雑誌があって、エアロスミス、キッスとともに、「ロック御三家」とか意味不明の称号を与えられていました。メロディアスなハードロックって、日本人に合ってたようです。それと日本人好みの容姿か否か、ですよね。音楽性はまったく違うけれど、JAPANが真っ先に日本で人気が出たのは、クイーンの人気と共通点があるような気がしてました。それと、「英国系」というのも日本の女性ロックファンにポイントが高かったです。米国のバンドは見た目がむさくるしい人たちが多かったし(笑)。ただ、フランス人の友人に聞くと、クイーンは早い段階でフランスでも人気があったと言ってました。この辺りも、おもしろい話だなと感じましたね。  RUKO
by 末尾ルコ(アルベール) (2017-06-11 23:44) 

lequiche

>> 末尾ルコ(アルベール)様

実はその古書フェアには誌名さえ知らない
SF系と思われる雑誌もあったのですが、
そこまで手を広げるのはちょっと、と思ってしまい
買いませんでした。
でも意外に面白かったのかもしれないと後悔してます。
昔のほうが今よりもずっと本が売れていましたし、
読書人口はどんどん減少しているような感じがします。

クイーン、そうなんですか。
ロック御三家って笑いますけど、いい語感ですね。(^^)

この前、来日の頃のビートルズの記事を再収録? した
ミュージック・ライフを買いましたが、
こういうミーハーな視点というのも必要だなと思いました。
マニアックだったり高踏的だったりするばかりでなく、
単純なファン雑誌みたいなのもポップスには必要ですが、
今はそういうのを洋楽系ではあまり見かけませんね。
というより洋楽自体が日本では衰退しています。

私が最初に買ったJAPANはQuiet Lifeですが、
(というよりLife in Tokyoからかもしれません)
それあたりから一般的な評価も出てきたようです。
アメリカじゃなくてイギリスというのもわかります。
フランスはアメリカ一辺倒じゃイヤという傾向がありますから
クイーンもありだったのかもしれません。

でも80年代になるとマイケル・ジャクソンとか
ブルース・スプリングスティーン、そしてプリンスなど
アメリカですよね。
特にマイケル・ジャクソンはMVの発達というのが
大きかったと思います。
by lequiche (2017-06-12 01:11) 

REE

70年代、カリフォルニアの全盛と衰退を思い出しました。
by REE (2017-06-12 01:17) 

lequiche

>> REE 様

ウエストコーストですね。
イーグルスなどのカリフォルニア・サウンドから、
そしてその終焉がラスト・ワルツなのでしょうか。
私はカリフォルニアというと吉田秋生を思い出してしまいます。
まさにカリフォルニア衰退の後、という印象があります。
by lequiche (2017-06-12 01:32) 

REE

その通りです。
「ホテル・カリフォルニア」は妻との出逢いの曲なので
今でもレスポールで弾きます。
当時、あれだけ多重録音された曲は珍しく、またジャケットに
イーグスとは書かれていません。
by REE (2017-06-12 02:51) 

lequiche

>> REE 様

曲にまつわる記憶、いいですね。
ジャケットにはたしかにバンド名が書かれていません。
なるほど〜。今、知りました。
最後のツイン・ギターの音は最も特徴がありますね。
ダブルネックもカッコイイです。
https://www.youtube.com/watch?v=8UAlD8SI-6U
by lequiche (2017-06-12 03:18) 

REE

ちょっと自慢話になってしまいますが。
小学5年生の時にクラシックギターを始め、
中学生の時にはモズライトモデル(エルク?)でベンチャーズの
ほぼ全曲をコピーしました。
3年生を送る会の時、私は2年生でしたが
寺内タケシの「運命」と「津軽じょんがら節」を弾きました。
高校生になってフォークソングにハマり、横浜フォークジャンボリーに出て、一位ではなかったですが、「神奈川県知事賞」を
頂きました。
大学生の頃は「エレキ」と「アコギ」の両方を弾いてましたが
24歳で結婚し、初めてフェンダーのストラトを買って弾きまくりました。
しかし、27歳の時、くも膜下出血で3か月入院し、それから数年後にキッパリとギターから離れてしまいました。
2度目のくも膜下出血でまたギターを始めました。
後遺症もほとんどなく、運よく生き延びていますwww
そんな経歴です。
生涯、ロック・ギタリストでいたいのです。
もちろん、ブルースもジャズも弾きます。
長文 失礼しました。

by REE (2017-06-12 04:04) 

lequiche

>> REE 様

長文ありがとうございます。
そうですか。ギター少年だったんですね。(^^)
ブログのジャンルから外れますが、
そういう話題も記事として
お書きになったらいいんじゃないかと思います。
楽しみにしております。

どうぞあまりご無理をなさらず
お身体大切になさってください。
by lequiche (2017-06-12 14:01) 

うっかりくま

1973年のQueenのライブ映像、ありがとうございます。
マッチョなスタジアムバンドになる前、女装していた
頃の方がよく聞いていたので懐かしかったです。
イギリスではデビュー当時放送禁止用語的ヒドイ言葉で
酷評されていたのに、今ではビートルズと並ぶ文化遺産
みたいになってしまい、隔世の感があります(^^)。
御三家の電話リクエスト対決とか人気投票とか、ラジオ
や雑誌でよくやっていましたが、どれが好きと言われても
全部好きで決められなかったです。(当時から無節操)
以前はロック雑誌を毎月3冊位読んでいましたが、今そう
いう雑誌で取り上げられているのはジャスティン・ビーバー。
ファンには悪いけど絶対読まないですね(笑)。


by うっかりくま (2017-06-12 23:11) 

lequiche

>> うっかりくま様

おぉ、すごい。お詳しいんですね。
毎月3冊って、うん、ロック全盛期だとそうでしょうね。
でもクイーンって女装バンドだったんですか?

実は、知ったようなことを書いているんですが、
白状してしまいますと、
私はクイーン、エアロスミス、キッスあたりは
知識としては知っているんですけど、昔の曲として、
つまりクラシックのようにして聴いただけです。
クイーンだったらたぶん
ボヘミアン・ラプソディっきり知りません。(^^;)アセアセ

上のルコさんへのレスにも書きましたが、
リアルタイムで買ったのはJAPANの途中あたりからで、
スティングもポリスじゃなくてソロになってからです。
ケイト・ブッシュはとても好きなんですが、
最初に買ったのはセンシュアル・ワールドで、
そこから旧アルバムへと遡っていきました。

方法として、
古いアルバムは全曲ボックスみたいなのを買って、
最初から順番に聴いてしまうんです。
そうすると、知ったかぶりができます。(^o^;)
ですからすごく偏っていて、
たとえばジェネシスの最初のほうは知っていますし、
ピーター・ゲイブリエルも大体知っているんですが、
イエスやEL&Pは全然知らなかったりします。
ベートーヴェンは知ってるけどハイドンはあまり知らない、
みたいなのと一緒です。(^^;)トホホ。

でも、じゃ、ジャスティン・ビーバーはどうかというと、
う〜ん、それってサッカーの選手じゃなかったのか。
という程度です。(^^)/
まぁ、つまり無知なんですね〜。ピシー!(それは鞭 ^^;)
by lequiche (2017-06-13 01:50) 

うっかりくま

お詫び:女装というのは語弊がありました。
「フレディが短髪ちょび髭になる前」と
いう意味でした。ファンの方にも申し訳ない!
自分は単純なミーハーだったので、遡って聴き
研究・探求されるってすごいなあと思ってしまい
ます。ジェネシスの初期も良かったですね~。
・・と話がまた逸れるのでこの辺で。。
by うっかりくま (2017-06-13 21:37) 

lequiche

>> うっかりくま様

あれれ。コメントが差し替わってる・・・・。(*o*)
タイツは消さないほうがよかったですね〜。(^^)
広い意味でのトランスヴェスタイトかもしれませんが、
グラムの頃のデヴィッド・ボウイなどと
フレディとではやや傾向が異なるように思います。
エルトン・ジョンなどとはかなり違います。
フレディのタイツは一種のキー・アイテムで、
後に彼がマッチョへと変貌する必然性を内包しています。

まとめて聴くのは、リアルタイムでなかったためで、
でも音楽は、特にポップスは
リアルタイムとそうでないのとでは
かなりその印象が異なるのではないでしょうか。
ヒットチューンとしてのEP盤が
もっともその時代性を残していると感じます。

ジェネシスの初期は
《Selling England by the Pound》あたりがいいですね。
それ以前のアルバムはちょっと古風過ぎて……。
セリング・イングランドはLPも持っています。
もちろん最近の再発盤ですが。
ピーター・ゲイブリエルはまだよく知らない頃、
武道館で見ましたが感動しました。
観客に音楽評論家が多過ぎるとのことでしたが。(^^)
by lequiche (2017-06-13 22:29) 

NO14Ruggerman

1974年・・世相の話はどれもが懐かしいです。
雑誌で住所を公表して文通相手を求めていた時代ですから・・
NHKは長髪ミュージシャンの出演はありえなかったですし。
なのでGS時代は短髪で身なりがさっぱりのブルーコメッツしか
出演されていません。
ワタシ的にはクイーンと来たら英国つながりでなぜかTレックスを
思い出しました。クイーンの少し前、日本で爆発的な人気だった、
でも米国では全く受けなかった・・
マーク・ボラン、フレディ・マーキュリー 有能者は短命です。

by NO14Ruggerman (2017-06-14 00:03) 

lequiche

>> NO14Ruggerman 様

この頃の音楽にはパワーがありますね。
ブログ本文にリンクしたキャロルのアマチュアバンドのライヴで、
0'11"あたりでギターの解放弦がミスタッチで鳴ってしまうところが、
まだすごくアマチュアっぽくていいなぁと思いました。

あ、長髪はダメ!(^^)/ ソウダッタ
つまりギター弾くと不良になるというやつですね。

アメリカでウケるかウケないか、というのは今もあるようです。
マーク・ボランはダメでしょうね。
ちわきまゆみは10歳の時、来日したマーク・ボランに
頭をなでてもらったというのを自慢していたということを
以前にもちょっと書きましたが、
http://lequiche.blog.so-net.ne.jp/2015-05-03
結局、グラムっていうのは特定の日本人の嗜好に
すごく合う部分があるみたいです。
だからJAPANも、まず日本でウケたんだと思います。

ちなみに、ちわきまゆみのアルバムを
全部持っているのは秘密です。(^^;)
(ちあきなおみではないです。念のため)
by lequiche (2017-06-14 00:47) 

向日葵

クイーン。。
涙が出る程懐かしいですねぇぇ。。
by 向日葵 (2017-06-14 07:46) 

すーさん

↑ケイト・・・・
高音部が綺麗で歌詞が刺激的なので
好きかも〜と今年1月くらい?にLPで一枚
「ライオンハート」を買いました。でも…

嫁に「同じのがCDラックにあるよ…」と
指摘されたのを思い出しちゃいました^^;。
(オマケに「センシュアル・・・」などなど
CDラックに大量9枚もあった・・・TT;)

by すーさん (2017-06-14 13:47) 

lequiche

>> 向日葵様

おおっ、クイーン・ファンだったんですか!
やっぱり思い入れのある音楽ってありますね。(^^)
by lequiche (2017-06-14 14:59) 

lequiche

>> すーさん様

それ、ひょっとして、ぼk・・・あ、ナンデモナイデス。(^^;)
ライオンハートはいいですね。
オ〜、イングランド♪〜

でも9枚だったら、レギュラー・アルバムは
大体あるんじゃないですか?
私はブートを含めて集めていた時期があります。
正規盤でトゥシューズ付きの《The Red Shoes》
という限定盤もありましたが、
さすがにそぉゆぅのは持っていません。(^^)
by lequiche (2017-06-14 15:03) 

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