So-net無料ブログ作成

トミー・エマニュエル ―《Live at Sheldon Concert Hall》 [音楽]

tommyemmanuel_170325.jpg
Tommy Emmanuel

前ブログでジャズマスターのことを書いてから、憑きものに魅入られたように、しばらくギターの曲ばかり聴いていた。私の聴き方は断片的で、しかもジャンルがめちゃくちゃだから、ところどころにピンポイントでギター・ヒーローが存在する。
ブルースギターといえばロバート・ジョンソン、そしてジャズの始祖といえばチャーリー・クリスチャンの名前があげられるが、確かにルーツではあるのかもしれないが、2人とも若くして亡くなっているのであまりに曲数が少なすぎるし、あくまで歴史上のギタリストという位置になってしまっている。それよりソリッドボディのエレクトリック・ギターの始まりは誰なのだろうか。そのあたりが判然としない。

リック・ニールセンがカッコイイと思っていた時期があって、《In Color》(邦題:蒼ざめたハイウェイ) を繰り返し聴いていた。もっともチープ・トリックがメジャーになったきっかけはそれより後の武道館ライヴであるが、私が聴いていたのはコクトー・ツインズを後追いで聴いていた頃と同時期だから、何でそんな後になってから突然注目してしまったのか、というのが謎である。何か触発されることがあったのかもしれないが、たぶんその頃、たまたま聴くものが無かったということなのかもしれない。
チェック柄大好きでいつもキャップ、ヘンなかたちのギターだったりして、エキセントリックにおどけて見せているようなのがリック・ニールセンのキャラであるが、それでいて実はちゃんと弾いていて、しかもとても上手いというそのギャップに惹かれたのである。そしてやや時代錯誤的なアイドル・ポップみたいな路線に懐かしさのようなものも感じていた。

しかし決定的なギター・ヒーローはトミー・エマニュエルである。ジャンル的にはカントリー系でそのルーツはチェット・アトキンスあたりなのだろうが、ギターを打楽器的に使うあたりに、ピアソラが楽器を叩くのと同じような衝撃を感じたのがその最初である。

トミー・エマニュエルはオーストラリア人であるが、オーストラリアというのは地理的にやや不利なのだろうか。オリビア・ニュートン=ジョンだっていたんだし、今の世界に地理的な差は無いように感じるが、でもアメリカやヨーロッパに較べるとオーストラリアはなんとなく辺境だ。それにタル・ウィルケンフェルドの場合もそうだが、オリジナルなオーストラリア盤だと価格が高いし入手しにくい。流通的に考えるとむずかしいのだろう。
そんなこともあるし、ギター1本でインストゥルメンタルが主体というスタイルのため、トミー・エマニュエルの知名度は、特に日本ではそんなに高くないような気がする。

メディアとして入手しにくいのにYouTubeにあるライヴ動画は多いというのが何とも不思議なのだが、最近の演奏もいいのだけれど、やや昔の収録年だが最も油の乗っているように感じられるのが《Live at Sheldon Concert Hall》での演奏である。
演奏時間は2時間に近く、ラフでワイルドでギターは消耗品と割り切っているような感じもするが、そのリズムとスピード感は比類ない領域にある。常に音楽に対する喜びを聴くことができるのも彼の特質で、能天気でスポーツのような装いに騙されて、聴き出すと、つい全部聴いてしまうのが難点である。

tommyemmanuel_170325b.jpg


Cheap Trick/In Color (Sbme Special Mkts.)
In Color




Tommy Emmanuel/Live at Sheldon Concert Hall
(Mel Bay Publications, Inc.)
Live at Sheldon Concert Hall [DVD] [Import]




Cheap Trick/Surrender Midnight Special
https://www.youtube.com/watch?v=LqB9lhHqmsE

Tommy Emmanuel/Live at Sheldon Concert Hall (全)
https://www.youtube.com/watch?v=2K_-nYymYdM
あえてトミーらしいリズム感からちょっとズレるが
ハーモニクスを多用したミッシェルもいい (1:19:06~)
nice!(76)  コメント(8)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 76

コメント 8

末尾ルコ(アルベール)

おもしろいですね、「ギターヒーロー」史。ただわたしはなぜかベーシストを好きになる率が高かったような。楽器ができないもので、「見た目重視」の期間が長かったというハンディ(笑)もあります。チープ・トリック、日本で人気ありましたね。クイーンとかJAPANとかと共通する人気の出方だった気がします。クイーンって、長らく欧米ではややキワモノ扱いだったと思うんですが、現在ではものすごく高い評価になっているのが驚きです。特にキワモノ的に見られていたフレディ・マーキュリーが、今では「史上屈指のヴォーカリスト」としての評価が定着していますものね。そうです、クイーン、けっこう好きでした。あと、PILのキース・レヴィンとか。ベーシストでは、ロジャー・ウォーターズ、ジャン・ジャック・バーネル(ストラングラーズ)なんかが。あと、「見た目重視」で、ハートのナンシー・ウィルソンはギタリストですが、カッコいいなと思ってましたね。いつしか大人になり(笑)、ジャズも聴いているので、今はリオネル・ルエケなんかが好きです。
トミー・エマニュエルは知りませんでした(笑)が、(今のところ)一曲聴いてみました。だもので、「いいですね!」くらいしか感想は書けませんが、またじっくり聴いてみますね。 RUKO

by 末尾ルコ(アルベール) (2017-03-25 16:50) 

うっかりくま

トミー・エマニュエル、めちゃうま!
余裕で弾いているのがわかる動画がまた、いいですね。
渡辺香津美のGUITAR RENAISSANCEは一時期聞いて
いましたが、来日公演でゲスト出演していた事は知りません
でした。両方聞けたらかなりお得で楽しいライブでしょうね。
チープトリックはThe Flameで再ヒットした時になって
やっと武道館で往年の名曲を聞き、懐かしかったです。。


by うっかりくま (2017-03-25 20:40) 

lequiche

>> 末尾ルコ(アルベール)様

確かにベーシストはカッコイイことが多いですね。
ギタリストといえば普通ならジェフ・ベックとかクラプトンとか
そういう名前がまず挙がるんでしょうけど、
あまりそういう有名な人は、一応は聴いてはみましたけど
でも私にとってのギター・ヒーローではないんです。
レジェンドなギタリストとギター・ヒーローは違うんですね。

日本発で人気が出て、その後世界的な人気に!という現象の
嚆矢となったのがチープ・トリックですね。
あ、フレディ・マーキュリーもそうなんですか!
デヴィシルにしてもそうですし、
日本のやおい系が発信源のものって多いような気がします。

見た目重視はパンクに限らず重要です。
ウォーターズやストラングラーズは基礎がありますが、
ナンシー・ウィルソンははっきりいってあまり上手くないです。
でもそういうのがいいんですね。
弾き方が健気っていうのか、少女マンガに出て来そうな……。

トミー・エマニュエルは
雑に弾いているようにも見えてしまいますが、
人によって価値観には違いがありますから。
私はこの系統のギタリストではNo.1だと思います。
by lequiche (2017-03-26 02:10) 

lequiche

>> うっかりくま様

そう。余裕です。
渡辺香津美との演奏というのは私も知りませんでした。
YouTubeで聴けますね。
これはキャラバンとヒア・ゼア・アンド・エヴリウェアですが、
キャラバンで2人のアプローチの違いがはっきり出ています。
https://www.youtube.com/watch?v=q5J93mYkN_o

チープ・トリックは私も後追いなので
それにあまり詳しくは知りませんが、The Flameもいいですね。
ロックではなくポップスで、音がクリアで常に明るいこと、
その明るさのなかのひそかな影……。
稀有な音であると思います。
by lequiche (2017-03-26 02:11) 

うっかりくま

早速YouTube画像をありがとうございます!
渡辺香津美、完全に添え物状態・・もとい主役を
引き立たせていますね・・(笑)。自分はルックスから
エアロスミスのジョー・ペリーのファンでしたが、
ギターの腕はどうだかよくわかりません(^^;)。
最近当時のバンドや業界の裏側がよくわかる自伝を
出版し、意外と頭の良い人だったんだと目から鱗でした。
今やたいやき好きのおじいちゃんになっています。
by うっかりくま (2017-03-26 21:03) 

lequiche

>> うっかりくま様

まぁその・・・・こんなもんです。(^^)
単純に指の速さがどうとか、だけじゃなくて、
音の使い方が全然違います。

たいやき好きのおじいちゃんというのがわからないので、
早速検索してみました。びっくりです。
それはエアロスミスやないか!(byビーグル38)

いゃ〜、お詳しいんですね。
その自伝というのも読んでみたくなりました。
by lequiche (2017-03-26 22:56) 

Enrique

ギターはクラシカル分野では傍流ですが,ポピュラー音楽の世界ではギターは主役のようです。スチール弦ギターは別の世界ですね。音楽も異なるわけですが,楽器の音質,音の伸び,奏法ことごとく異なります。アメリカに渡ってからの変化が大きいようです。
by Enrique (2017-03-27 13:27) 

lequiche

>> Enrique 様

先日の 「クラシックギターと他のギターの相違」 という記事で
「これほどヴァリエーションの多い楽器も珍しい」 と
書かれていましたが、確かにおっしゃる通りです。
それだけ応用範囲が広くて扱いやすい楽器
ということなのだと思います。
by lequiche (2017-03-28 00:17) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0