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もう心は雪のように白くはない — TBSドラマ《カルテット》 [雑記]

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TBSのドラマ《カルテット》をたまたま見始めたら面白くて最後まで観てしまいました。
今回は第2回目とのこと。松たか子主演だが、松たか子 (巻 真紀)、満島ひかり (世吹 すずめ)、高橋一生 (家森 諭高)、松田龍平 (別府 司) という4人による文字通りのクァルテットで、丁々発止のストーリーということになっているようです。
偶然集まった4人が弦楽四重奏を弾くというので、もしかして《のだめ》みたいな音楽ドラマかと思っていたがそうではありませんでした。

この回の通奏低音となっているのはSPEEDの〈White Love〉だ。最初のほうのシーンで別府と結衣 (菊地亜希子) がカラオケで歌っている曲が〈White Love〉で、ボックスに遅れて入ってきた別府が内線電話で 「フライドポテト、メガ盛りで」 という。この大量のフライドポテトも伏線となっているのがニクい。
それぞれに片思いで恋が錯綜というのはTVドラマの王道だが、ややミステリーっぽいテイストとコメディとが加わっていて、これはなかなかイケるかもしれないと思う。光量不足のような暗い画面が多いのもいい。
詳しいあらすじ等は、番組サイト (下記) をご覧ください。

ところどころに入って来る一種のアフォリズムが面白くて、たとえば 「連絡しますというのは、連絡しないでね、っていう意味」 とか笑ってしまう。
「質問に質問で返すときは正解なんですよ」 というのもそう。

結衣は 「結婚するかもしれない」 と別府に言う。「(その相手と) どんな話をするんですか?」 と訊く別府に 「どこのタイヤが、どういいとか」 という返事。そんな男と結婚なんかするのやめちゃえよ、と別府は思う。
でも別府がホントに好きなのは真紀で、何回も偶然に出会う機会があった。でもそのチャンスを生かせないうちに真紀は他の男と結婚してしまう。
それはいいのだが、その偶然の機会というのがコネタになっていて、別府が最初に真紀の姿を見たとき、彼は銀色の宇宙人のコスプレをしていた。2回目に、よしそば行ったらバイオリンケース持った人がにくそば食べてて。3回目はヤマダ電機のマッサージ機に座っていて。でもいずれも声をかけられないでいるうち、4回目は結婚式場でバイトをしていたら、そこで真紀が式を挙げるところを見たことを告白して、ぼくと結婚してくださいと続けるのだ。
なぜなら真紀の夫は不在になっていて、でもその母である巻鏡子 (もたいまさこ) は息子が真紀に殺されたと思っているのだ。

その別府の告白に対する真紀の台詞がいい。ちょっとしたレトリックが古典的演劇ふう。

 悲しいより悲しいことってわかりますか?
 悲しいより悲しいのはぬか喜びです。
 おかしいなって思ってたんですよ。
 カルテットが偶然揃うなんて。
 でもこの4人、いいメンバーだなぁ。
 落ち込んでたから、神様が届けてくれたんだなって。
 うそだったんだ。

そして否定しようとする別府に、真紀はさらに畳みかける。

 別府さん、夫がいないっていうけど、
 いなくなるのって、いないってことがずっと続くことです。
 いなくなる前より、ずっとそばにいるんです。
 今なら落ちるって思ったんですか?
 いない人よりもぼくを。
 捨てられた女なめんな!

しんとした怒りの表現がまさに舞台のよう。言葉の使い方も、ドラマっぽい説明口調になるのを省いていて、少し飛躍があるのだけれど、こうしたときの人間のしゃべりかたはこんなもの、というのがよくわかる。

そして、別府は結衣がつまらない男と結婚するのが耐えられず、結衣にも結婚しようという。
それに対して結衣は 「お腹空かない?」 と話を逸らしてインスタントラーメンを作り、明け方のベランダで2人で食べる。
結衣は別府に言う。

 まぁ、私もずるいし、別府君もずるい。
 でも寒い朝、ベランダでサッポロ一番食べたらおいしかった。
 それがワタシとキミのクライマックスでいいんじゃない?

この割り切り方 (割り切らせかた) ってオトコマエでカッコイイ。結衣の部屋から帰ってくる朝の道。別府の足下をネコが通り過ぎる。レンズの割れたメガネ。
そして結衣の結婚式で、急造の弦楽四重奏団が演奏するのだが、新郎新婦が退出するとき、ひとりでソロをとった別府は、アヴェマリアを弾く。やがてそれが途中からWhite Loveに変わっていくのだ。SPEED、ツボだなあ。

真紀がすずめの片思いを見破っているのだと告げる台詞も、「またこれか」 ふうなのが来る。

 はっきりしない人って、
 はっきりしないはっきりした理由があるし、
 人を好きな気持ちって
 勝手にこぼれちゃうものじゃない。

エンディングに、「またこれか」 ふうな椎名林檎も来ます。ラストシーンに重なるメロディがハマり過ぎていて、要するにこういう退廃なのか?
脚本は坂本祐二。こういった台詞回しはぎりぎりのところなんだけれど、今のところ、ぎりぎりで成功してるように思う。4人の楽器の扱い方はイマイチですけど音楽ドラマじゃないから仕方がないのでしょう。(これと較べると玉木宏はすごかったなぁ。指揮のシーンのとき、う~ん、という個所がちょっとあったけれど全体的にはTVドラマのクォリティを凌駕していました)。

松たか子は、ずっと昔のドラマ《ラブジェネレーション》とか《じんべえ》くらいしか見てないけれど、久しぶりに面白いなぁと思ったドラマです。でも次の回を見るかどうかは、どうかな?
そうそう。《ラブジェネレーション》っていうのは2人の棲み家が独特のセットになっていて、そのことだけ覚えている。ドラマの内容は忘れてしまいました。CDは武部聡志のプロデュースしたアルバムだけ持っています。
それと、SPEEDではなく島袋寛子のソロになってからの動画を意味もなくリンクしておきます。


火曜ドラマ カルテット (TBS)
直近の放送分のみ、無料でオンデマンド配信されています
http://www.tbs.co.jp/quartet2017/

hiro/As Time Goes By
https://www.youtube.com/watch?v=u5kcssH6KcM
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hatumi30331

見ようと思って忘れてます。
次は見る!^^

雲は、彩雲って言うらしいですね。
運がいいとか〜
ラッキー!って思うようにします。へへ;
by hatumi30331 (2017-01-25 14:37) 

末尾ルコ(アルベール)

実はですね、坂本裕二の脚本が苦手で(笑)、『愛のむきだし』を観て以来、満島ひかるがよく坂本脚本ドラマに出てるんで今までに何本か観ているんですが、「どうだ!」と言わんばかりの長台詞には概ねストレスが溜まりっぱなしでした。『Mother』とか『Woman』は監督が水田伸生で「坂本色」が抑えられていたので、まあままだったんですが、『それでも、生きてゆく』とか『最高の離婚』とかはきつかったです。よって最近は「坂本印」は避けております。でも俳優たちには好評なようで、だから普段は連ドラに出ない俳優も出演しているというところなのですが。満島ひかりは『愛のむきだし』や『川の底からこんにちは』がめちゃめちゃ好きなんですが、ここ数年はスケールダウンしている感があります。 SPEEDはわたしも割と好きでした。なかなかのエンターテイナーでしたよね。一部(笑)国会議員になっちゃいましたが。 RUKO
by 末尾ルコ(アルベール) (2017-01-26 01:01) 

lequiche

>> hatumi30331 様

録画しておくのが確実ですね。
TBSのサイトでは第2回なら今、見ることができます。

あ、そうそう。
虹のヴァリエーションみたいな色ですし、
絶対にラッキーなことの前触れですよ。(^^)b
by lequiche (2017-01-26 02:54) 

lequiche

>> 末尾ルコ(アルベール)様

お〜、そうなんですか。お詳しいですね。
私はドラマというのはほとんど観ませんので、
たまに見始めると面白く感じるのが強いのかもしれません。
同時間帯の前のドラマ《逃げ恥》というのは全く観ていませんし、
NHK朝ドラの《あまちゃん》も全然知らないんです。
極端ですけど。

長台詞は特徴のひとつなんですか。
ブログ本文に
「こういった台詞回しはぎりぎりのところ」 と書きましたが
たぶんそうなんだろうな、と思って、
でも聞いていてそんなにキツいというほどでもなくて、
イヤな感じは受けませんでした。
こうした一種のしつこさは唐十郎でもそうですし、
そもそもシェークスピアがそうです。(^^)
つまり脚本というより戯曲の書法に近いような印象を受けました。
ただ、ドラマとか演劇とか映画の評価は脚本だけではないので、
何か共感できるものがあればいいと思っています。

ですからSPEEDには共感できる何かがあるんですが、
松田龍平がX JAPANの〈紅〉もカラオケで歌うんですけど、
X JAPANはほとんど知らないので共感が無いんです。
共感というのは一種の同時代性のようなものです。
時代とか事象の共有感といってもいいと思います。

それで私は、
White Loveとかサッポロ一番とかヤマダ電機という単語に
反応してしまうんですね。そのリアリティさに。
もしそれが高級レストランとかプラダのバッグとかだったら
共有感が無いので反応できないのだと思います、たぶん。

SPEEDとか鈴木亜美とかは、
たとえば安室奈美恵などと較べると
ある意味、フェイクでキッチュなのかもしれません。
でもそのfragileな感じがいいんです。
その消費のされ方は隆盛期のアメリカの
パルプマガジンに似てます。
by lequiche (2017-01-26 02:54) 

ぴーすけ君

エンディングの歌が贅沢ですね~。
by ぴーすけ君 (2017-01-26 11:01) 

lequiche

>> ぴーすけ君様

そうですね。
こういうふうな椎名林檎の使い方も、
またひとつのメッセージと言えます。
by lequiche (2017-01-27 05:47) 

すーさん

↑テレビに露出するときなどになにかとタッグを組む機会が多かった
SOIL&PIMP SESSIONSが突然の半解散状態で
(仕事もキャンセルだし)椎名さんどうするんだろうと思ってたけど、
ソイルなしでも変わらずやりたいことを表現して活躍しつづけていて
安心しました。
元々椎名さんはワタスがソイルが好きで観る機会が多くなったので
コラボがないのは寂しいですが、その昔に元カノが好きだからって
観させられていた頃の椎名さんよりも今の方が面白くて好きです♡。
by すーさん (2017-01-27 13:40) 

NO14Ruggerman

SPEED…いいですね。
初めてBODY&SOULを聴いたとき名も知れぬベテランアーチストが陽の目を見たのかと思いきや当時の島袋さんの年齢を知りぶっ飛んだ記憶が鮮明です。
by NO14Ruggerman (2017-01-27 14:09) 

lequiche

>> すーさん様

SOIL&PIMPってあんましよく知らないんです。スミマセン。
今、ちょっと聴いてみましたけど、なかなかやりますね。
しーなのアルバムも以前は全部買っていたんですが、
最近は息切れしたというか、やや飽きちゃったのかも。

でも、ユーミン、宇多田、しーなの3人は
旧・東芝EMIの頃から別枠で特別なんだそうで、
やりたい放題しても大丈夫なんだと思います。

若い頃、ハンドマイク持ってた頃もあれはあれでよかったし、
今はそれなりに音楽的にネレてきてるって感じです。
私には齊藤ネコさんのオーケストレーションが
ひとつのピークでしたね。
錯乱とか。
http://www.dailymotion.com/video/x36f4i

カルトな影響はずっと継続してあるようです。
一時期、ヴィヴィアンのアーマーリングが
メチャクチャ売れたのは椎名林檎フォロアーの影響でしたし。
by lequiche (2017-01-28 02:24) 

lequiche

>> NO14Ruggerman 様

そうですか〜。今となっては懐かしい話題ですね。
そう、SPEEDというより、はっきり言って
しまぶーの魅力です。
(hiroという愛称だと某ダンスユニットのオッサンみたいなので
あえて 「しまぶー」 ^^;)

As Time Goes By はソロの1stシングルなんですが、
ELTのTime Goes ByとストーンズのAs Tears Go Byの
合体みたいなタイトルですけど、
この曲の入ったBrilliantというアルバムに一番思い入れがあります。
それはひとつには、もうハイトーンで歌わなくてもいいじゃん、
という、少しレイドバックした姿勢が好ましいんです。
by lequiche (2017-01-28 02:24) 

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